「風俗街で育った女」ネタバレです。
感想も載せてあります。
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「風俗街で育った女」あらすじとネタバレ
風俗嬢として働く母に育てられた倉科カオリは、母の仕事柄寂しい思いを感じながらも街の人々から温かく可愛がられて暮らしていました。
しかし、小学校3年生の頃から始まったいじめを皮切りに水商売を嫌悪するように。
知り合いのいない高校へ進学したカオリでしたが、平穏な生活はつかの間。
どこからともなく自身の生い立ちが広まりすぐに居場所を失い、遂には男子生徒に犯されてしまうのでした。
母と、そして自らが育った街と決別する決心をしたカオリは、いじめを乗り越え東京の大学へと進学を果たします。
念願の大学生活は代え難い充実感にあふれていましたが、生活費の為に続けていたバイトとの両立生活も楽には続きません。
やがて友達付き合いや学業さえも疎かになってきたある日、友人からキャバクラのバイトを誘われます。
背に腹は代えられず、嫌で嫌で逃げ出してきたはずの水商売の世界に自ら足を踏み入れることに。
渋々受けた面接もすんなり通過したカオリは初めての体験にも関わらず、持って生まれた才能を発揮する様に大成功を収めてしまうのでした。
水商売に染みついたような感覚を覚え、何よりも心地よさを感じ始めてしまう自分に怖さを抱いたカオリは継続の勧誘を断りますが・・・。
カオリをはじめ、自分の体に流れている血や本能に抗えない様子が精密に描かれていきます。
詳しい話の流れに関しては、ぜひ単行本を覗いてみてください。
感想や結末について
正直なところ私はこの手のお話はあまり好きではありません。
ですが、この物語には好みに関係ないリアルさを感じてすごく引き込まれました。
生い立ちによるいじめや無自覚の悪意に晒される恐怖は実際に感じた人にしかわかりませんが、そういった過去を坦々と語る主人公のナレーションに戦慄を覚えます。
カオリはいじめやそれ以上に酷い目に遭いながらも必至に戦い大学進学という夢を勝ち取ります。
その強靱なメンタルに思わず「すごいなぁ」と驚嘆してしまいました。
自分が同じ境遇だったなら、きっと高校でひきこもり、不登校になってニート街道まっしぐらでしょう。
女性って強い!
けど、それでもどうにもならない自分の運命って、本当に怖いですね。
ところで、このお話には私とってどうしても理解出来ない部分があるのです。
どうしてカオリはわざわざお金の掛かる東京の大学に行こうと思ったのでしょうか。
自分の事を誰も知らない場所ならば東京でなくても離れた地方の大学でいいですし、その方が学費も生活費ももう少し余裕があったのでは?と疑問に思うのです。
地方でもそういう街はたくさんありますが、東京という魔窟に比べたら遙かに縁遠い職業だったのではないでしょうか。
きっと、「そういうところ」が彼女の巡り巡る人生を決定づける物だったのでしょうね。
まとめ
実はこの作品は1話完結型の短編集で、『ストーリーな女たち』という雑誌に掲載されていたものになります。
このお話自体は「ループ」という作品を改題した(名前を替えたと言う事)物であり、他にも現実にありそうなお話が4話、全部で5話分収録されていますよ。
みなさんも是非読んで、この深い何かを感じ取ってくれるとうれしいです。
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