「戸籍のない子:きりぎりす」のネタバレです。
感想も載せてあります。
その他の収録作品に関しては、コチラからどうぞ。
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「戸籍のない子:きりぎりす」のネタバレ
主人公は場末のちょんの間に籍を置いている京香という54歳の女性。
表向きはスナックだが、2階で色々と行うお店だ。
今日も、客を取り逃がしたことを愚痴りつつ、スナックに籍を置いている人々とヤケ酒を送る日々。
もちろん、京香もその一人。
そして、過去の栄華を知っている彼女たちのような人物が口にするのが、相手をしてきて男たちの話だ。
誰々に抱かれた、愛された、会員制の高級クラブにいた、というろくでもない話。
酒が入れば入るほど、過去の話は辛気臭い方向へと動いていき、解散へというのが一連の流れ。
ある日、京香は所属していた仲間が死んだことをスナックのオーナー・ふみから聞かされた。
残り20年位の余生。
自分も危ないんじゃないか、という心配に駆られた京香は、店の常連客である田渕を上手いこと落とす。
スナックに籍を置く仲間たちからは、羨ましがられつつも祝福され、不安に駆られる毎日とはさよならできた・・・はずだった。
しかし、実際は田渕の毎日は年金暮らしとシルバーセンターの賃金で、生活に関してはギリギリ。
京香が思っていたほど、楽な生活はできなかったのだ。
そこで、京香はいつもの悪癖が出てしまい・・・。
過去は美しかったであろう女性の見事な転落っぷり。
自分勝手に生きた京香に待ち受けていた結末とは。
詳しい話に関しては、ぜひ単行本を覗いてみてください。
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感想について
老後の心配はわからないでも無いですね。
「きりぎりす」の主人公である京香は、風俗に身を落としていた訳ですから。
でも、京香が話していた過去から推測するに、引く手あまただったと思います。
もちろん、遊びで抱いた人もいるでしょうけれどね。
なのに、選り好みをしたり、稼げるからといって風俗から足を洗わなかった。
この時点で、京香の今の生活というのは、なるべくしてなったと言っても過言ではありません。
田渕を捕まえられなかったとしても、迎える結末はこのように変わったくらいでしょう。
「○○県△△市のアパートで女性が死んでいるのが発見されました。死因は餓死で、孤独死だったようです」とね。
とはいえ、これも社会の闇の氷山の一角なのだと感じます。
多分、今の世の中には、京香のような老後を心配する孤独な人は、もっともっと多いと思われます。
風俗以外にもホームレス、障害者、熟年離婚者などなど、ですね。
こういった人々が、今の世の中には沢山溢れかえっているんだろうなー、と改めて感じさせられました。
まとめ
さて、この話は前の話と違って、結末がやや唐突だったと感じました。
途中までは、結構良い話だったんですけれどね。
それも含めて、そこそこ楽しめました。
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