「天国の仕立て屋」結末近くまでのネタバレと感想です。
イイ話が沢山詰まっている名作ですよ!
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「天国の仕立て屋」ネタバレ
物語の舞台は、仕立て屋・雪滴花(スノードロップ)。
そこには、仕立屋の柳英(りゅうえい)と、葬儀屋の葉悦(ようえつ)兄弟。
そして、家政婦の沙里(さり)16歳の少女が暮らしている。
そんな雪滴花に訪れる人々からの依頼から始まる物語は、どの話もドラマチック。
雪滴花にやって来るお客様は、皆、死期を悟っていり考えていたりする方ばかり。
たとえば、物語の最初のお客様は89歳のおばあちゃん。
時分に残された時間は僅かとなり、どうせならば夢を叶えたいと思ってやって来る。
その依頼とは、死装束用に、ウェディングドレスを着たいというもの。
夫とは戦争が終わったら、ウェディングドレスを着て結婚式をしようと約束していた。
しかし、夫は英国人であり、戦争のために祖国へと戻らなければ行けなかったのだ。
そして、その夫は戦死を遂げ、二度と会うことは叶わなかった。
だからこそ、死ぬときには、その夢を叶えたいという。
雪滴花にやって来るお客様は、死を間近に考えている人々。
そんなお客様たちの人生を聞き、雪滴花の仕立て屋がその希望を叶えるため洋服を仕立てる。
出会いと別れ、切なくも優しい物語集。
絵柄、小回り、セリフまでさらに楽しみたいと感じた方は、こちらのサイトからどうぞ。
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「天国の仕立て屋」を読んだ感想
BL漫画家として名高い阿部あかね先生。
そんな阿部先生の少女(女性)漫画ということで、最初はどうなのだろうと思いました。
けれど、相変わらずのその繊細な画力はいうまでもなく、魅力的な登場人物ばかり。
ストーリーはといえば、とても切なく優しい物語の展開に、思わず感動してしまいました。
物語の設定上、死装束を仕立てるということで、別れが必ずどこかにチラついています。
いうなれば、やって来るお客様たちの生き様が描かれているのです。
そして、そんなお客様の希望を聞き、満足のいく最期を飾る。
淡々と静かに進んでいくストーリー展開とは裏腹に、とても心が揺り動かされました。
また阿部先生の繊細な画風が、とても物語にフィットしているから困ります。
ただ、「天国の仕立て屋」は、一巻とあるのに、二巻が出ていないようです。
物語は、オムニバス形式に描かれているので、続きの展開にはなっていません。
しかし、仕立て屋さんたちの登場人物たちもどこか謎めいていますし、色々気になる部分が。
レビューなどで見ても、かなり高評価なこの作品。
私も同様ですが、待ち望んでいる方が多そうなのに、どうして二巻がないのでしょう。
未だ次巻が読めないのはとても残念ですが、逆にいえば、そう思わせてくれる素晴らしい作品ということだと思います。
まとめ
阿部あかね先生の「天国の仕立て屋」は、2016年10月現在、一巻だけの発売です。
一巻と表記されているのですが、2009年に発売されて以来、次巻は出ていません。
もしかしたら、次巻に出会えるかもしれないという思いを胸に、気長に待ってみたい作品です。
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