「花宵道中」のネタバレです。
感想も載せてあります。
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「花宵道中」あらすじ
江戸時代後期―
ここは吉原。
江戸幕府唯一認定の遊郭・山田屋。
山田屋の遊女である朝霧は、同じ山田屋の遊女である八津に誘われ祭へ。
人混みの中、はしゃぐ八津とはぐれてしまいます。
加えて下駄の鼻緒が切れ、人混みの中で下駄をなくしてしまいます。
八津と下駄を見失い途方に暮れていた朝霧の前に一人の男性が現れ―!?
ネタバレ
七つのころに死んだおっ母の死体は
吉原をぐるりと囲む通称「おはぐろどぶ」に投げ捨てられた
吉原の最下層に位置する長屋女郎にはそれが相応な処置だった
おっ母が投げ込まれ泣いた
はねたどぶの染みがにおいがおまえも逃がしはしないと
いっているように思えて
また泣いた―
「姐さん、朝霧姐さん!」
物思いに耽っているところへ朝霧を呼ぶ八津の声がしました。
「八幡様にお店が出てるよ!一緒に行こうよ!」
お祭りに行く気分ではなかった朝霧。
「小遣いやるから仲よしの三津と行っておいで」
とやんわり断ろうとしましたが・・・
「はあ?三津ぅ~~~!?」
と三津の名を聞き不機嫌そうになる八津。
「三津・・・あいつ・・・行っちまったよ、あたいを置いて八幡に
しかも、あたいの客とな!!」
うふふっうふっ・・・と、怒りを通り越して笑う八津。
朝霧は仕方なくお祭りに行くのでした。
ピーヒャラピラリ~~~
化粧してない遊女だらけだ・・・
お祭りで人も多くにぎやかな辺りを見回り朝霧は思いました。
「朝霧姐さん、ぎやまんの光る玉はどこにあるんだろう?」
きょろきょろと辺りを見回す八津。
「あすこじゃないの?蜻蛉玉とかいうヤツだろ?」
朝霧が屋台を指すと八津は興奮し朝霧の手を取り走り出しました。
しかしその時、朝霧の履いていた下駄の鼻緒が切れてしまい―
朝霧がつまずいた拍子に、人混みが二人を引き離してしまいました。
「姐さんっ!」
朝霧を呼ぶ八津の声が人混みに紛れ、遠くに行ってしまいました。
あーあ・・・
やっぱりくるんじゃなかった・・・
八幡様だってなんだってどこにいたって―・・・
何も変わりゃしない
朝霧が空を見上げ途方に暮れていると、空から大きな手が伸びてきて―
ぐいっと朝霧の腕を引っ張り、ひょいと朝霧を持ち上げる男。
「え?あっ、ちょっ、ちょっと!?」
・・・誰?
突然の出来事に混乱する朝霧。
人混みから離れると男は朝霧を降ろしました。
「大丈夫かい?怪我はないか」
男の名は半次郎。
朝霧は、この男に生まれて初めての恋をするのでした。
しかし、待っていた二人の再会は遊女と客としてで―
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感想とか
安達祐実主演で映画化され話題にもなった本作。
映画では朝霧の恋が軸になっている物語ですが、漫画は原作小説に沿った物語に。
映画ではやっぱり細かい背景的なものが端折られてるのかなって感じで。
漫画では朝霧の姐さんである霧里の物語が多く語られています。
そのほかにも朝霧の周りの人物たち個々の物語があります。
まあ映画は尺もありますから主人公の物語だけしか語れませんよね(汗)
原作小説を読んだことのある人でも満足のいく作品になっていると思います。
文字だけの小説とは違い煌びやかに描かれる絵にも満足できるかと。
小説のコミカライズは当たり外れの差が大きいと思うんですがこの作品は当たり。
そう個人的には思いました。
人物(特に女性たち)に特徴がなく、描き分けられていない印象でした。
見分けがつきにくい・・・という点が少々残念な点ではありました。
しかし絵はすごく綺麗で、物語がわかりやすく読みやすいという印象でした。
専門用語的なものには注釈で説明があったり親切設計でした(笑)
まとめ
遊女が恋したって墜ちていくだけ・・・
遊女たちの出会いと別れ、恋と運命。
切なくも華麗な物語―
煌びやかな世界に魅了され、そして儚い恋に胸がキュンとなる物語。
映画を観た人も原作を小説を読んだ人もそうでない人も楽しめる作品です。
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